再生医療の概略と特徴
再生医療は、幹細胞やiPS細胞、その他の有効な細胞を用いることで、欠損した臓器や組織を再生させ、身体機能の回復を目指す医療です。
再生医療は、特に既存の医薬品では治療が難しい疾患や、有効な治療法が確立されていない疾病に対し、先端医療として期待され、実績を上げています。
再生医療の特徴は、従来の外科的手術や化学的治療、内科的治療ではなく、患者自身の細胞を利用した治療法である点です。
再生医療の中でも、幹細胞治療は、患者から採取した幹細胞を培養増殖させ、同じ患者に投与するため、アレルギーなどの副反応のリスクがほとんどなく、国に承認された安全な治療法です。培養増殖した幹細胞は、損傷した組織や臓器を再生させ、本来の機能を修復・改善させます。また、幹細胞は抗炎症作用が働くので、身体の傷みや炎症を軽減させる役割もあります。
再生医療に期待されること
細胞の再生能力の強さや弱さ、また再生能力のない細胞など、細胞の性質を知ることが、再生医療の根幹ともいえます。
例えば、肝臓は再生能力が高い細胞で出来ているので、肝臓を一部切除しても、自然に元の大きさまで再生します。また、筋肉も損傷した場合、時間はかかりますが、ゆっくりと再生することができます。
しかし、再生しない細胞で出来ている神経細胞や心筋細胞は、組織の損傷や、細胞が死滅した場合には、自然再生を期待することができません。
幹細胞治療は、再生能力のない細胞でできている臓器等に対し、人工的に培養増殖した幹細胞を投与することで、その患部を活性化させ、機能回復を図ることが、期待できる治療です。また、再生能力をもつ細胞で出来ている患部の場合は、幹細胞を投与することで、回復するスピードを速める効果もあると言われています。
医学の発達とともに、私たちの平均寿命は延びました。
しかし、一方で、細胞の老化が原因となって引き起こされる加齢性の疾患も増えています。
体内のあらゆる細胞について、解析と研究、臨床が進むことで、再生医療は、今後も様々な治療の開発や予防医学として機能を果たすことを期待されています。